スマホ首、テキストネック(text-neck)
スマホ首とは、スマートフォンを使用しているときの首の形をいいます。頭を下に傾けて首を屈曲している状態です。
この姿勢を長期間反復的に行われることによって、首の痛みをはじめとし様々な症状が体に起こってきます。
原因
スマホ首は反復性ストレス障害(repetitive stress injury:繰り返し同じ動作を行うことによって起こる障害)です。
スマホをしているときの姿勢 ⇒ 頭を前に倒した姿勢
通常の姿勢では、耳の下に肩がきます。しかし、この頭を前に倒し見下ろす不自然な姿勢では首に大きな負担をあたえ、肩こりや首の痛み、慢性頭痛などのいろいろな症状を引き起こす原因になります。
ストレートネックと混同しやすい
ストレートネックは首がまっすぐであるという状態を示した言葉です。なので原因はスマホに限りません。逆に、スマホ首はスマホをしているときの首の形なので、ストレートネックになっているかは問いません。ストレートネックでないスマホ首の方もたくさんいます。首が前にとび出ていればストレートネックと思っている方がたまにいますがそれは間違えです。
症状
スマホなどを見下ろしている姿勢は首の筋肉に大きな負担を与えます。頚椎・神経・椎間板を圧迫するので首肩を中心とした症状がおこります。また、背中はお尻よりも後ろにさがり、巻き肩、猫背になるので、胸(食道や呼吸器)や胃を圧迫し、いっけん首とは関係のないさまざまな不調や失調症をおこします。
- 肩こり・首の痛み
- 椎間板症(椎間板性疼痛)、頚椎症、手のしびれ
- 慢性頭痛
- めまい、吐き気
- 自律神経失調症
- うつ、やる気が出ない、冷え性、疲れやすい
- 胸焼け、逆流性食道炎(外部サイト)
など。
症状が進行すると、頚椎症性神経根症までなることがあり、首から腕にかけてのしびれや激痛を引き起こすようになります。
スマホ首 簡単チェックテスト
試しにスマホをしている姿勢で深呼吸をしてみてください。次に、スマホを止め正しい姿勢をして深呼吸をしてみてください。どうですか? スマホをしている姿勢のときと胸を張って正しい姿勢をしているときでは深呼吸のしやすさに差があるはずです。
姿勢を変えるだけで、体内に取り込む酸素の量は30%も変わってきます。スマホ首の状態では酸素を取り込む量が減ってくるので、体内の血行が悪くなります。それに伴って一見首とは無関係に思える様々な失調症が起こる可能性も出てきます。たとえば、冷え性・だるい・疲れやすい・やる気がでない・自律神経失調症 など。
関連 → 腹式呼吸 方法
対処・対策
スマホ首による首の負担は、頭を傾けた角度によって変わってきます。↓
米ニューヨーク市の脊椎専門のクリニック ケネス ハンスラージ氏(Dr. Ken Hansraj )の研究によると、頭を前に倒す角度によって、15度で12Kg 30度で18Kg 45度で22Kg 60度で27Kg と首への負担が増していくそうです。(関連:頭の重さ)
スマホを使うときの姿勢、首の位置に注意しましょう。
目線が下にならないようにスマホの位置を上にあげ、スマホ自体も垂直に近い角度を保って持つようにします。また、15分以上の連続使用も避けるようにしましょう。
テキストネックとは?
テキストネックとは、スマートフォンやタブレットなどのハンドヘルド(handheld:片手持ちサイズのコンピューターの総称)が首に大きな負担をかけ、様々な症状を引き起こす。というものです。
日本でいうところの「スマホ首」や「スマホ症候群」に相当するものです。
テキスト・ネック(Text Neck)は、フロリダ州のカイロプラクター ディーン・フィッシュマン(Dr. Dean Fishman)によって提唱されました。日本ではまだなじみのない言葉ですが、欧米ではストレートネックやスマホ首よりも話題になっており、テキストネックという言葉が浸透しています。
テキストネクとストレートネクの違い
こうしてみると、テキストネクもストレートネックもほぼ同じのように思えますね。
テキストネックは、モバイル機器使用が原因で起こる首の形状変化を示した名前であるのに対し、ストレートネックは、首がまっすぐである状態を示した名前(原因は問わないので範囲がもっと広い)です。
ストレートネックも主な原因はスマホやPC作業による不良姿勢ですが、その原因がさまざまで、スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器に限られてはいません。
日本でテキスト・ネックが話題にならない理由
日本ではストレートネックが何かと話題になっていますが、欧米ではほとんどストレートネックとは言わず、テキスト・ネックと呼んで流行しています。
これは何故でしょうか?
一つの理由として、このテキストネックを提唱したのが医師ではなく、米国のカイロプラクターであることだといえるでよう。アメリカでのカイロプラクターの地位は医師に匹敵するほどのものがあります。もちろん大学もあります。一方、日本ではカイロプラクティク自体の認識が薄く国家資格でもありません。また日本では米国認定のカイロプラクターも極小でありほとんどが“もどき”です。ですので、日本の医師がテキストネックという言葉を使い患者様に説明することはないのです。ストレートネックを初めて使った人が誰なのかは定かではありませんが、日本の医師は首がまっすぐである状態を患者さんに説明するとき、ストレートネックという表現を使い、スマホが原因であると特定でいる場合はスマオ首をいう表現をするのです。(正式にはこれらは病名ではなく俗称です)