歌を歌うと首が痛くなるのは何故?
歌手やカラオケなど歌を歌うと首の後ろが痛くなる方がよくいらっしゃいます。また、大きな声を張り上げることを頻繁に行っている方も首の痛みが起こることがあります。「口を開ける」という動作は、顎を下に下げているだけでなく同時に頭を上へ上げる動作でもあります。(オペラのような発声の場合は別ですが)
原因
声を出す(歌を歌う)=上を向く ということになります。特に極端に上を向くわけではないのですが、一曲4~5分の歌を何曲も歌うと上向き動作は相当な数になってきます。これは反復性ストレス障害(同じ動作を何度も反復することによって組織にダメージ起こる障害)によるものです。
単に「力んでいるから」という場合もあるでしょうが、まったく首に力みがなくても、上向き姿勢では首の後ろにダメージが蓄積されて痛みがでることがあります。
上を向く姿勢というのは頚椎の5番~7番に大きな負担がかかってきます。同時に神経の通り道も狭くなりますので、人によっては手のしびれまで起こることがあります。↓
また、ストレートネック や スマホ首 がある場合、上向き姿勢で痛みなどの症状が起こりやすくなります。
リズムの取り方
歌の上手い人上級者の場合、リズムを裏で取る方が多いですが、そのとき、首を前後に動かすことがよくあります。裏でリズムを取っているので首を後ろへ引くときに力が入りやすくなります。首を後ろへ引く動作はそれだけで首の後ろの筋肉の負担が増えます。
発声では首や喉に力が入らない方でもこのリズムの取り方(首を後ろへ引く動作)が原因で首の痛みを起こすことがあります。
椅子に座ってカラオケ
カラオケの場合、椅子に座った状態で歌うと首の後ろの筋肉の負担が増えることがあります。これは、カラオケの歌詞テロップが流れるテレビ画面が目線よりも上に設置されていることに関係すます。常に上向きで歌うことを強いられてしまうので、たとえ正しい発声をしたとしても、首の後ろの筋肉に大きな負担をかけてしまうのです。
対処・対策
まずは整形外科での診察をおすすめします。歌と関係なく首にヘルニアや頚椎症などの疾患がある場合があります。原因が反復性ストレス障害ですのでたとえ治療で治ったとしても歌を歌い続ける限りまた再発する可能性があります。
根本的対処
高音や大きな声を出し、声を遠くへ飛ばそうとするときにこの傾向が強くなってきますので、首だけでなく背中全体を反るようにして上を向くようにするか(手を上にあげると自然と背中も反り胸も開くので首の負担が軽減します)、顎を引いて喉頭を下げた状態の発声法を身につけるようにすることによって防ぐことができます。
最近の女性アーティストさんは高音発声のとき手を上にあげることが多いですよね。それにより高音が出しやすくなったり音を当てやすくなるのですが、同時に首が後ろへ反るのも防いでくれるのです。
また、首を後ろへ引くリズムの取り方をしている人の場合はその見直しも必要になってきます。そして、カラオケの場合は、なるべく立って歌うようにしましょう。
発声の知識を持った施術師に発声時の首の状態を診てもらいながらアドバイスと施術をしてもらうとよりよいでしょう。