うつむき姿勢になることが多い現代人は ストレートネックになりやすい
ストレートネックとは… 頚椎の生理的前湾角度 30度以下の首の状態をいいます。
※首がまっすぐに歪んだ状態を示す言葉ですので、病名ではありません。
正常な人の首の前湾角度は… 30~40度です。
慢性的な 頭痛・首の痛み・肩こりに悩む人の多くはこの角度が少なく、病院でレントゲンやMRIを撮ると正常よりも首がまっすぐですね。(原因)という説明を受けることになります。
たいていこれといった治療があるわけではなく、 整形外科では…
- 首を牽引したり首の牽引はつまった椎間(ついかん:首の骨と骨の間)を広げ、硬くなった筋肉をストレッチする目的で行われます。
- 電気をかけたりマッサージをしたり首回りの筋肉をほぐしたり血行促進、除痛を目的とした対処療法が目的の治療。
- 薬物療法筋肉を緩める目的や除痛を目的をした薬の処方。
- 理学療法理学療法士や鍼灸マッサージ師による施術。
などが行われます。
ストレートネック 原因
スマホやパソコン作業による不良姿勢
慢性的なうつむき姿勢を取ることにより、首の生理的なカーブが失われ、ストレートネックになります。
長時間のパソコン作業やスマホ操作はもっとも代表的な原因です。
最近ではスマホの爆発的普及によりスマートフォンの使い過ぎによるストレートネックが増えてきています。(スマホ首:テキストネック text-neck)
(関連:頭を傾ける角度と首への負荷)
リュックサックにより起こる場合
リュックはランドセルと違い、重心がお尻の方に下がっています。そのため、頭部を前方へ倒さなければバランスを保てなくなります。また、両肩で肩ひもを支えているので、巻き肩になりやすく、腕は内旋し、手の甲が前を向いてしまう姿勢になります。ストレートネックをつくる原因の筋肉である「小胸筋」と「広背筋」を持続的に緊張させてしまいます。(※片側に起こる肩こりで常にカバンを片側に掛けていた人がリュックに変えることによって負担が両肩に分散され肩こり解消することはあります。)
スポーツ障害により起こる場合
- バレエやダンスなどによる姿勢矯正
- 格闘技(ボクシング、レスリング、柔道、総合格闘技 など)による頭部や首への衝撃、顎を引き背中を丸くした姿勢
- スキーやスノーボード転倒、車の衝突事故などによる「むち打ち」
加齢、老化によるもの
頚椎椎間板症や頚椎症など、首の椎間板や骨の退行性変性から起こるもの
主なタイプ
頭部前方突出型のストレートネック ~猫背・不良姿勢タイプ~
これがもっとも一般的でほとんどのストレートネックはこのタイプです。「猫背(肩巻き猫背)」に起因し、顎が前に突き出た「頭部前方変位(FHP:フォアードヘッドポスチャー)」の姿勢をおこして首をまっすぐにしてしまいます。(その形が重機のクレーンに似ていることから、クレーンネックとも呼ばれます。)肩巻き猫背は背中があまり丸くなっていない場合もあるので『隠れ猫背』とも言われ、本人が猫背である自覚がない場合があります。(注:頭部前方変位であってもストレートネックになってないケースもあります。)
~↓その他あまり知られていないタイプ↓~
最近では、猫背・不良姿勢タイプのストレートネックばかりがマスコミやテレビで話題になっていますが、他にもさまざまなタイプがあります。
垂直型のストレートネック ~バレリーナ・ダンサータイプ~
実は一見、姿勢の良い人にもストレートネックの人が居ます。バレリーナやダンス、アイススケートなど、過度に姿勢矯正をしている人たちです。このタイプの人は首だけでなく背骨全体がまっすぐ(ストレートバック)になる傾向にあり、顎は引けていて首が垂直に伸びています。
例えば、バレリーナの場合、くるくる回転する動きがあります。より効率的に回転するためには回転軸はまっすぐの方が効率が良いので(ちょうどコマの軸のように)背骨の生理的弯曲(S字)から弯曲のすくないまっすぐな形へと変わっていきます。首の骨(頚椎)も背骨の延長なので首もまっすぐ、いわゆるストレートネックになっていくのです。
背骨全体がまっすぐなので見た目は姿勢が良く猫背ではありません。
また、特にバレエなどをしていなくても、生まれつきの体型で背骨の弯曲が少ない垂直型の方もいます。
骨盤・股関節タイプ
骨盤や股関節に歪みが発生している人の場合、それを補うために背骨全体のバランスが変わってきます。骨盤の場合は、前傾が強かったり、後傾が強かったり、また骨盤が前に出ているタイプの人です。また、股関節の場合は、変形性股関節症や寛骨臼形成不全の人がなりやすく、大腿骨と寛骨臼の接地面を多くしようとして骨盤が前傾します。骨盤の前傾が起こると腰は「そり腰」になるのでそれを補うために背中は後弯(猫背)しやすくなります。その結果、頭が前へ突出してしまいます。
足タイプ
足の3大疾患には、“外反母趾・偏平足・足底筋膜炎”があります。また、最近多いのは「浮き指」と言って足の指が地面に着かず浮いているタイプです。一見ストレートネクとは関係がないように思えますが、実はこれらは首のバランスを取るのと大きくかかわりがあるのです。
綺麗な足の形があって綺麗な骨盤の傾斜が保て、綺麗な首の前弯が保てるのです。
ストレートネック 症状
- 頭痛がする
- 肩がこる
- 首が痛い、首が動かない
- 頚椎症、椎間板症
- 上が向きにくい
- めまい、ふらつき感がある
- 手のしびれがある
- 寝違いを繰り返す、枕が合わない
- 逆流性食道炎、胸焼け、吐き気がする
- 自律神経失調症、うつ
☆無症状 … ストレートネックや頚椎後弯であっても無症状である場合があり、必ずしも症状が出るわけではありません。
☆男性・女性ともに多く現われますが、最近では子どもにも増えてきています。
ストレートネック 対策
初期の場合や症状が軽い場合は、首局所のマッサージやストレッチなどで症状が改善する場合もあります。ですが、ストレートネックは首だけの問題ではないので、なかなかそれらだけでは解決してくれないことが多くあります。例えば、腹部内圧を高める筋肉(インナーユニット)の機能低下は頭部前方変位やストレートネックを助長します。より根本的な解決をはかるためには体全体の骨格から改善することが必要になります。
- ストレートネックの体操
- 正しい姿勢の見直し
- インナーユニットを鍛える → 腹式呼吸
正常な首がストレートネックになっていく様子(動画)
正常な首の形は、頚椎前弯(けいついぜんわん)といってなだらかに前にアーチを描いています。そのアーチが失われてくると首がまっすぐになりストレートネックの状態になります。さらに進行すると今度は、逆向きのアーチを描くようになります。この状態を「頸椎後弯変形(後方ネック)」と言います。